柴胡剤 漢方薬解説

柴胡剤の解説・まとめ

投稿日:2019年9月27日 更新日:

柴胡剤は柴胡と黄芩を主構成生薬とする処方群で、邪がさらに体の深部に移行し、半表半裏に熱がこもった病態で、往来寒熱、胸脇苦満、食欲不振、悪心、嘔吐、口が苦い、舌の白苔などの特徴的な症候がみられるようになります。

柴胡剤は病毒や病邪を中和し、生体機能のバランスを調節することで作用を発現していきます。

柴胡

柴胡は『和解少陽』といって、少陽という病態を改善します。少陽とは半表半裏の状態を意味し、表証と裏証の間の状態のことです。

寒熱往来(寒気と熱感が交互にくる)、口が苦くてのどが渇く、胸脇苦満(肋骨の下あたりを押すと痛い)などの症状が少陽の特徴となります。

また『疏肝解鬱』といって、肝臓のあたりで気などが鬱滞している状態を改善する働きもあります。

黄芩

清熱瀉火作用があり、中焦の熱と上焦の熱を改善します。中焦には胃腸が該当しており、 黄芩は胃腸の湿熱を乾燥して冷ますことで改善していきます。 上焦には咽頭などが該当しており、寒熱往来、口が苦くてのどが渇く、胸脇苦満などの少陽の症状も改善します。

また『涼血安胎』といって、妊娠中の胎熱不安の症状を改善する作用もあります。

柴胡剤の薬方例







-柴胡剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


十味敗毒湯の解説 | 薬剤師をやめたい薬剤師の日記 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

大黄甘草湯の解説

大黄 甘草  大黄と甘草の二味から構成された大黄剤の基本処方です。大黄は代表的な寒性薬で、これに処方全体の作用を緩和する目的で甘草が加えられており、丸剤(大甘丸)としても用いられることがあります。 大 …

小建中湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 膠飴 小建中湯の「中」という文字は中焦(消化器)のことを指していて、弱った消機能を調えるという意味があります。 桂枝加芍薬湯に膠飴(麦芽飴)を配剤した薬方で、顔色の良くな …

乙字湯の解説

大黄 甘草 柴胡 黄芩 当帰 升麻 柴胡と黄芩は大黄と同様に清熱作用が強く、下腹部の炎症を緩和していきます。升麻は内臓のゆるみ(下垂)を引き上げる作用があり、痔核や脱肛を治します。また、柴胡は当帰と組 …

桂枝湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 この処方は傷寒論の最初に記載されている最も基本的な薬方で、加減法も多くあります。 表(体表面)が風邪によって侵されるときに生じる症状で悪寒と発熱が同時に起こり、頭痛・肩こ …

桂枝加芍薬大黄湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 大黄  桂枝加芍薬湯に緩下作用のある大黄を加えた薬方になります。 寒性薬である大黄を主体とした寒性の大黄剤と異なり、基本的には温性の桂枝湯をベースとしている薬方であるため …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー