大黄剤 漢方薬解説

潤腸湯の解説

投稿日:2020年2月19日 更新日:

大黄 枳実 厚朴 麻子仁 杏仁 桃仁 当帰 地黄 黄芩 甘草

この処方は「腸を潤す」という名の通り、体液の枯燥により、腸内に熱をもち、腸が乾いて潤いを失うことに起因した便秘に適応します。一般的には緩和な便秘薬というイメージが定着していますが、あくまでも大黄剤であることから実証用の処方なので注意が必要です。

ただし多くの大黄剤が胃腸の内熱を目標にして使うのに対して、この処方は麻子仁、杏仁、桃仁、当帰、地黄という潤性薬が配合されているため、胃腸の内熱がさほど強くなくても硬い便が出るという陰虚の傾向の腸燥便秘にも使うことができます。また、大黄に理気薬である枳実と厚朴を組み合わせることにより、腹部膨満感にも効果が期待できます。さらに補血薬である当帰・地黄と駆瘀血薬である桃仁(当帰も)が加えられているため、血虚や瘀血を改善する作用ももっています。

このような観点から高齢者の便秘に使いやすい処方ではありますが、潤腸湯は大黄剤であるということを忘れないようにしましょう。







-大黄剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

柴胡桂枝乾姜湯の解説

柴胡 黄芩 乾姜 甘草 桂枝  牡蛎  括楼根  柴胡・黄芩からなる柴胡剤の一種で、牡蛎が含まれているのが特徴です。 柴胡加竜骨牡蠣湯を使いたい人で、少し虚証に傾いているような場合に用いていきます。括 …

柴胡加竜骨牡蠣湯の解説

柴胡 黄芩 半夏 生姜 大棗  桂枝 茯苓 竜骨 牡蛎 この薬方は小柴胡湯の甘草の代わりに、桂枝、茯苓、竜骨、牡蛎を加えた柴胡剤です。 竜骨と牡蛎は鎮静効果が強く、動悸、不眠、イライラ、のぼせなどの精 …

黄耆建中湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 膠飴 黄耆 小建中湯に黄耆を加えた薬方で、小建中湯の証よりも体力が衰えて、盗汗や自汗があり、腹痛の激しいものや発疹やびらんなどの皮膚症状が顕著なものに適応します。 黄耆は …

桂枝加芍薬大黄湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 大黄  桂枝加芍薬湯に緩下作用のある大黄を加えた薬方になります。 寒性薬である大黄を主体とした寒性の大黄剤と異なり、基本的には温性の桂枝湯をベースとしている薬方であるため …

大黄剤の解説・まとめ

大黄剤は大黄を主構成薬とする処方群で、大黄の清熱作用により胃腸の内熱を除くとともに、強い瀉下作用により腸内の老廃物を排泄して、消化管の働きを正常化させていきます。 大黄剤は基本的に胃熱証の適応であり、 …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー