大黄剤 漢方薬解説

大黄甘草湯の解説

投稿日:2020年2月15日 更新日:

大黄 甘草 

大黄と甘草の二味から構成された大黄剤の基本処方です。大黄は代表的な寒性薬で、これに処方全体の作用を緩和する目的で甘草が加えられており、丸剤(大甘丸)としても用いられることがあります。

大黄は消炎・解熱・鎮静(清熱瀉火)に働き、胃腸の内熱をとり、さらに腸管の蠕動運動を亢進して瀉下作用をもたらし、腸内の老廃物を除去し、消化管の働きを正常化させていく効果があります。

便秘症に広く用いられますが、慢性や習慣性の便秘を引き起こす体質改善には効果がなく、頓服として便秘に用いる方がよいとされています。

また、大黄剤は基本的に胃熱証の適応であるので、便が硬く、食欲があり、食べる量が多いのが特徴で、体力がある人に用いていきます。食事中に汗をかいたり、飲酒(湿、熱)によって食欲の亢進や元気になる人に適応します。

反対に、瀉下作用が弱く、虚証や腹力の低下した人の便秘には用いてはいけません。

前の記事







-大黄剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

柴胡剤の解説・まとめ

柴胡剤は柴胡と黄芩を主構成生薬とする処方群で、邪がさらに体の深部に移行し、半表半裏に熱がこもった病態で、往来寒熱、胸脇苦満、食欲不振、悪心、嘔吐、口が苦い、舌の白苔などの特徴的な症候がみられるようにな …

柴胡加竜骨牡蠣湯の解説

柴胡 黄芩 半夏 生姜 大棗  桂枝 茯苓 竜骨 牡蛎 この薬方は小柴胡湯の甘草の代わりに、桂枝、茯苓、竜骨、牡蛎を加えた柴胡剤です。 竜骨と牡蛎は鎮静効果が強く、動悸、不眠、イライラ、のぼせなどの精 …

桂麻剤の解説・まとめ

桂麻剤とは 桂麻剤は、桂枝湯を基本に桂枝(桂皮)と麻黄を配合する薬方群の事で、なかでも麻黄を配合する薬方群については麻黄剤と呼ばれています。風邪症候群や急性熱性疾患の初期の症状(太陽病の病態)である悪 …

葛根湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 葛根 麻黄 桂枝湯に葛根と麻黄を加えた薬方で、今では知らない人がほとんどいないほどに有名な漢方薬です。 桂枝(弱い発汗作用がある)に強い発汗作用のある麻黄が加わることで、 …

薏苡仁湯の解説

麻黄 桂枝 甘草 薏苡仁 当帰 芍薬 蒼朮 麻黄湯に蒼朮を加えた麻黄加朮湯(体が痛み、尿は少なく、浮腫のある人を目標として使われる)から杏仁を除き、当帰・芍薬・薏苡仁を加えた処方です。 辛温発表剤であ …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー