桂麻剤 漢方薬解説

桂麻各半湯の解説

投稿日:

桂枝 甘草 麻黄 杏仁 芍薬 大棗 生姜

この処方は 麻黄湯桂枝湯を合方したものです。各半湯と名がついていますが、実際には半分ずつ合方したものではなく1/3ずつ合わせたものです。

麻黄と桂枝の相乗作用による強い発汗が考えられますが、上記理由のため麻黄湯などに比べて麻黄の処方量は少ないため、自汗傾向がある症状に適応します。見方を変えると、桂枝湯の処方に麻黄の鎮咳作用と杏仁の鎮咳去痰作用が加味された処方とも考えられます。

桂枝湯の応用として、熱感や悪寒がある皮膚の痒みに使うことができます。また、汗が出ないで痒いものにも適応でき、寒冷蕁麻疹にもよく効きます。

麻黄湯葛根湯桂枝湯の鑑別方法として自汗の有り無しがありますね。ここを間違えてしまうと脱汗に陥ってしまうこともあるので、この鑑別は必ず行いましょう。自汗の判断材料の一つとして私がよく使う方法を紹介しておきます。

まず乾いたティッシュペーパーを1枚テーブルに広げ、その上に手のひらを置いてもらいましょう。そのままゆっくり手を上にあげてもらい、ティッシュペーパーが手にくっついていれば自汗あり、くっついてこなければ自汗なしと判断するのが手軽でいいと思います。時間もかからないですし、相手に触らなくてもできるので、太陽病の相談を受けた時にはいつもこの方法を使っています。

前の記事







-桂麻剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

薏苡仁湯の解説

麻黄 桂枝 甘草 薏苡仁 当帰 芍薬 蒼朮 麻黄湯に蒼朮を加えた麻黄加朮湯(体が痛み、尿は少なく、浮腫のある人を目標として使われる)から杏仁を除き、当帰・芍薬・薏苡仁を加えた処方です。 辛温発表剤であ …

葛根湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 葛根 麻黄 桂枝湯に葛根と麻黄を加えた薬方で、今では知らない人がほとんどいないほどに有名な漢方薬です。 桂枝(弱い発汗作用がある)に強い発汗作用のある麻黄が加わることで、 …

乙字湯の解説

大黄 甘草 柴胡 黄芩 当帰 升麻 柴胡と黄芩は大黄と同様に清熱作用が強く、下腹部の炎症を緩和していきます。升麻は内臓のゆるみ(下垂)を引き上げる作用があり、痔核や脱肛を治します。また、柴胡は当帰と組 …

三黄瀉心湯の解説

大黄 黄芩 黄連 瀉心湯とは、心下部のつかえ(心下痞鞕)を改善することからつけられた名称で、黄連と黄芩が胃腸の炎症を去り心下部のつかえをとっていきます。 この処方は黄連・黄芩からなる芩連剤と大黄剤の両 …

調胃承気湯の解説

大黄 甘草 芒硝 大黄甘草湯に芒硝を加えたもので、緩下剤の基本処方となっています。 大黄と芒硝はいずれも苦寒薬の代表であり瀉下作用が強いため、甘草はそれらによる胃腸障害などを緩和する目的で加えられてい …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー