桂麻剤 漢方薬解説

葛根湯の解説

投稿日:2019年10月9日 更新日:

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 葛根 麻黄

桂枝湯に葛根と麻黄を加えた薬方で、今では知らない人がほとんどいないほどに有名な漢方薬です。

桂枝(弱い発汗作用がある)に強い発汗作用のある麻黄が加わることで、表(体表面)を温める効果と発汗作用が強まり、相乗効果によって強い発汗作用をもたらします。

発汗させることが目的ですので、もともと汗の出やすい虚証タイプには用いてはいけません。

葛根湯などの麻黄剤が使える時期は生体の防御反応が活発に働いている初期(太陽病)で、邪を表(体表面)にこもることで比較的高い発熱がみられます。

葛根湯などの桂麻剤により発汗して下がった熱が、再び上がった場合は虚熱(体力の消耗などにともなう発熱)の可能性があるので注意しなければいけません。

もしも虚熱の状態で桂麻剤の服用をそのまま続けてしまうと、症状が悪化してしまうこともあります。

そのため、葛根湯の適応期間は多くの場合1日、2日。長くても3日程度で終了します。もしも年中葛根湯を服用している方が身近にいらっしゃったら、一度漢方薬の使い方について見直した方がいいかもしれませんよ。

そして、もしもその葛根湯が保険処方されていたとしたら…その処方医は漢方薬についてあまり詳しくない可能性が非常に高いです。

漢方薬は正しく使うことができなければ、病気が治らないだけではなく反対に体調を壊す原因にもなりえます。現代日本においては、漢方薬は服用する側も正しい知識を持つ必要がありますね。自分の身は自分で守りましょう!

前の記事へ







-桂麻剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


  1. […] との相乗効果によって強い発汗作用をもたらすことから、汗の出やすい虚弱体質のタイプには用いてはいけません。葛根湯より構成生薬が少ないので、シャープな効き目が期待できます。 […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

十味敗毒湯の解説

柴胡 茯苓 甘草 生姜 桔梗 荊芥 防風 独活 川芎 撲樕(桜皮) 万病回春に記載されている荊防敗毒散をベースとして、前胡、薄荷、連翹、枳実、金銀花を除いて桜皮を加えたものが華岡青洲の使用していた十味 …

当帰建中湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 当帰(膠飴) 小建中湯に当帰を加えた薬方(本来は膠飴を入れない)で、血虚の傾向のあるものに適しています。 当帰は温性補血薬の代表的な生薬であり、血を補い瘀血を去り血行を良 …

桂枝加芍薬大黄湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 大黄  桂枝加芍薬湯に緩下作用のある大黄を加えた薬方になります。 寒性薬である大黄を主体とした寒性の大黄剤と異なり、基本的には温性の桂枝湯をベースとしている薬方であるため …

柴胡加竜骨牡蠣湯の解説

柴胡 黄芩 半夏 生姜 大棗  桂枝 茯苓 竜骨 牡蛎 この薬方は小柴胡湯の甘草の代わりに、桂枝、茯苓、竜骨、牡蛎を加えた柴胡剤です。 竜骨と牡蛎は鎮静効果が強く、動悸、不眠、イライラ、のぼせなどの精 …

調胃承気湯の解説

大黄 甘草 芒硝 大黄甘草湯に芒硝を加えたもので、緩下剤の基本処方となっています。 大黄と芒硝はいずれも苦寒薬の代表であり瀉下作用が強いため、甘草はそれらによる胃腸障害などを緩和する目的で加えられてい …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー