大黄剤 漢方薬解説

調胃承気湯の解説

投稿日:2020年2月16日 更新日:

大黄 甘草 芒硝

大黄甘草湯に芒硝を加えたもので、緩下剤の基本処方となっています。

大黄と芒硝はいずれも苦寒薬の代表であり瀉下作用が強いため、甘草はそれらによる胃腸障害などを緩和する目的で加えられています。

大黄は燥性であるから、コロコロ便(燥屎)の場合には、痛みをともなったり快通しないことがあります。そこで、潤性である芒硝を加味することでそのような場合にも便が出やすくすることを目標としています。

大黄と芒硝はいずれも消炎(清熱)に働き、さらに腸管の蠕動運動促進や腸管内の老廃物の除去により消化管の運動を正常化させます。

承気とは胃腸の内熱を瀉下して胃腸の機能や閉塞を除くという意味があります。類似処方を承気湯類といい、調胃承気湯、大承気湯、小承気湯の三処方があります。なかでも大承気湯が最も強く、腹部膨満や燥性が強い場合に用いられます。燥性が著しくない場合は小承気湯、腹部膨満がないものには調胃承気湯を用いていきます。

前の記事







-大黄剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

小青竜湯の解説

麻黄 桂枝 甘草 芍薬 半夏 乾姜 細辛 五味子 麻黄湯をより水滞の多い寒証向きにつくりかえた処方であり、温性を高めるために生姜ではなく乾姜が加えられています。乾姜・細辛は温性が強い生薬でもあるので、 …

麻杏薏甘湯の解説

麻黄 杏仁 甘草 薏苡仁 麻黄湯の桂枝の代わりに薏苡仁が入った処方です。薏苡仁は単独でもエキス剤が治療に用いられているため、医療人であれば一度は聞いたことのあるくらい有名な生薬ですね。薏苡仁・麻黄の組 …

黄耆建中湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 膠飴 黄耆 小建中湯に黄耆を加えた薬方で、小建中湯の証よりも体力が衰えて、盗汗や自汗があり、腹痛の激しいものや発疹やびらんなどの皮膚症状が顕著なものに適応します。 黄耆は …

柴胡桂枝乾姜湯の解説

柴胡 黄芩 乾姜 甘草 桂枝  牡蛎  括楼根  柴胡・黄芩からなる柴胡剤の一種で、牡蛎が含まれているのが特徴です。 柴胡加竜骨牡蠣湯を使いたい人で、少し虚証に傾いているような場合に用いていきます。括 …

柴胡剤の解説・まとめ

柴胡剤は柴胡と黄芩を主構成生薬とする処方群で、邪がさらに体の深部に移行し、半表半裏に熱がこもった病態で、往来寒熱、胸脇苦満、食欲不振、悪心、嘔吐、口が苦い、舌の白苔などの特徴的な症候がみられるようにな …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー