桂麻剤 漢方薬解説

黄耆建中湯の解説

投稿日:

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 膠飴 黄耆

小建中湯に黄耆を加えた薬方で、小建中湯の証よりも体力が衰えて、盗汗や自汗があり、腹痛の激しいものや発疹やびらんなどの皮膚症状が顕著なものに適応します。

黄耆は体表の湿をとりのぞき(止汗)、皮膚の血行を高めることで栄養を補い、化膿を止める働きがある強壮薬です。

そのため黄耆建中湯は、小建中湯の適応で盗汗や皮膚症状があるような虚弱児に最適な薬方となっています。

臨床的にも黄耆建中湯は小児のアトピー性皮膚炎によく用いられており、私自身も乳幼児に対して使用したところ、大変効果的であった経験があります。

ただ、私がアトピー治療で使用する場合には、単に黄耆建中湯だけでお渡しすることよりも薏苡仁を加味して服用していただくことの方が多いですね。薏苡仁には健脾利湿(けんひりしつ)という作用があり、湿を除いて消化器を強くする作用がありますので、黄耆建中湯とは相性がいいですよ。

前の記事へ







-桂麻剤, 漢方薬解説
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

大黄剤の解説・まとめ

大黄剤は大黄を主構成薬とする処方群で、大黄の清熱作用により胃腸の内熱を除くとともに、強い瀉下作用により腸内の老廃物を排泄して、消化管の働きを正常化させていきます。 大黄剤は基本的に胃熱証の適応であり、 …

五積散の解説

桂枝 乾姜 生姜 麻黄 白芷 当帰 川芎 白芍 大棗 甘草 蒼朮 茯苓 半夏 陳皮 厚朴 枳実 桔梗 五積とは5つの病毒(気・血・痰・寒・食)の鬱積を意味しており、五積散とはそれらの状態を治すための処 …

小柴胡湯の解説 

柴胡 黄芩 半夏 生姜 人参 大棗 甘草 柴胡・黄芩からなる柴胡剤の基本的な薬方で、主薬の柴胡は黄芩とともにみぞおちから脇腹にかけての肋骨弓下部に抵抗や圧痛が認められる胸脇苦満(胸脇部における一種の炎 …

当帰建中湯の解説

桂枝 芍薬 甘草 大棗 生姜 当帰(膠飴) 小建中湯に当帰を加えた薬方(本来は膠飴を入れない)で、血虚の傾向のあるものに適しています。 当帰は温性補血薬の代表的な生薬であり、血を補い瘀血を去り血行を良 …

麻杏甘石湯の解説

麻黄 杏仁 甘草 石膏 この処方は麻黄湯の桂枝の代わりに石膏が入ったもので、麻黄湯と同じく麻黄と杏仁が合わさっており、咳嗽や喘鳴があるものに奏効します。 しかしながら、麻黄・石膏の組み合わせは麻黄・桂 …

新着投稿

アーカイブ

カテゴリー