柴胡剤 漢方薬解説

大柴胡湯の解説

投稿日:2019年9月29日 更新日:

柴胡 黄芩 半夏 生姜 大棗 枳実 芍薬 大黄

この薬方は小柴胡湯の人参と甘草の代わりに、枳実、芍薬、大黄を加えたもので、特に体力が充実して症状の激しくあらわれる人に用います。

適応としては胸脇苦満を自他覚的に認めて苦痛を訴え、熱があり、悪心や嘔吐が激しく便秘傾向の人に用います。舌は白苔または黄苔です。

枳実と芍薬は筋緊張を緩めることで痛みを緩和し、大黄は消炎、解熱、鎮静に働き(清熱瀉火)、さらに腸管の蠕動運動を亢進して瀉下作用を表します。

枳実は大黄と同様に強い瀉性薬で、かつ降性薬であることから、枳実にも便通を促す作用があります。これらの作用は柴胡や黄芩の胸脇苦満を治す作用を助けてくれますので、薬方全体として胸脇部の緊張と炎症をとる作用が強く働きます。

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