柴胡剤 漢方薬解説

十味敗毒湯の解説

投稿日:2020年2月13日 更新日:

柴胡 茯苓 甘草 生姜 桔梗 荊芥 防風 独活 川芎 撲樕(桜皮)

万病回春に記載されている荊防敗毒散をベースとして、前胡、薄荷、連翹、枳実、金銀花を除いて桜皮を加えたものが華岡青洲の使用していた十味敗毒湯です。浅田宗伯は、ここから桜皮を撲樕にかえて十味敗毒湯と称しています。

柴胡剤の適応となる皮膚疾患の初期に適しています。(食欲不振、悪心、胸脇苦満など)

荊芥、防風をはじめ構成生薬の大半が発散性であることから、表面に毒素を発散させて解毒・排毒していくことを目的としています。そのため弱い発散剤として風邪の初期にも対応することが可能です。

代表的な燥性薬である茯苓のほかに、独活や防風などの燥性薬が含まれていることから、分泌物のある湿症向きの処方であるといえるでしょう。

桜皮は皮膚病の治療以外にも解熱や鎮咳作用があり、桜皮エキスは急性気管支炎や肺炎の鎮咳去痰薬として用いられています。 (日局ブロチンシロップ)

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